【第2回】「フッ素を塗るのは何のため？」
フッ素（フッ化物）を塗布する理由、すなわちなぜフッ素（フッ化物）が虫歯予防にいいのかを質問形式でお答えします。
今回も小学生の子どもをもつ母親Aさんからのご質問です。
定期検診でいつもフッ素を塗ってもらっていますが、どういう理由で塗ってもらっているのか、いまいちよくわからないので教えてもらえますか？
はい、わかりました。
なぜフッ素（フッ化物）塗布を行っているのか、その理由を詳しくお答えします。
まず始めにフッ素（フッ化物）の効果をご説明させていただきます。
どういう効果があるんですか？
フッ素（フッ化物）には3つの効果があります。
まず1つ目は「歯質の強化」です。
フッ化物が歯に取り込まれると、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトが
フルオロアパタイトというものに変化して、歯の外側の部分にあるエナメル質が強化されることによって、酸に溶けにくい強い歯になるんです。
なるほど。他にはどういった効果がありますか？
2つ目は「再石灰化の促進」です。
これは、フッ化物が虫歯になりかかった歯から溶け出したカルシウムが再び歯の表面に戻ろうとする作用を手助けして、初期虫歯の歯の修復を促進する効果です。
へぇー。そんな効果もあるんですか！
さらに3つ目は「虫歯菌の抑制」です。
これは、フッ化物の抗菌作用によって虫歯菌が増殖するのを抑える働きがあります。
これらの3つの効果によって、フッ化物は虫歯予防に効果的で良いとされているんですよ。
そうなんですか。わかりました。
ちなみに、フッ素は歯磨き粉にも入ってますけど、それも歯に良いんですか？
そうですね。やはり歯磨き剤のフッ化物も虫歯予防に効果的です。
フッ化物は歯科医院で高濃度のものを３ヶ月に一度、定期的に塗布することが効果的ですが、それ以外に効果的にフッ化物を応用する方法が2つあります。
１つがその毎日の歯磨きの時に使用する歯磨き剤に入っているフッ化物なんですよ。
へぇー、なるほど。毎日歯磨きはしますから知らないうちに使ってたんですね。
そうなんですよ。ほとんどの歯磨き剤にはフッ化物が入っていますので、歯磨き剤からフッ化物を取り込むことが多いですね。フッ化物の量は歯磨き剤によって違いますので、必ずその量を確認することが大切です。日本の法律では1500ppmFが上限になっていますので、6歳未満では950ppmFを、6歳以上では1450ppmのものを使用することをお勧めします。歯科医院では、市販品よりも予防効果の高い、高濃度フッ化物配合歯磨剤を歯科専売品として取り扱っていますので、ぜひ使ってみてください。
わかりました。歯磨き粉の中に入っているフッ素がどれくらい入っているのか確認してから買うようにします。でも、よくわからないときは歯科医院でお勧めの歯磨き粉を聞いてから買うようにします。
そうですね。私たち歯科医院のスタッフに聞いていただければ、その方に合ったお勧めの歯磨き剤をお選びしますので、お気軽にお声がけください。
ちなみにフッ化物配合歯磨剤を使った後は、フッ化物ができるだけお口の中に残るように少量の水でうがいを1回するだけで、何回もうがいをしないことが大事です。
へぇ～、うがいをしないと気持ち悪いので、何回もやっていました。
つい何回もうがいしてしまいがちですが、そういう使い方も大事なんですよ。
そしてもう一つのフッ化物の応用方法は、フッ化物洗口です。
フッ化物洗口は何となく聞いたことあるような・・・。
フッ化物洗口は、フッ化物洗口剤というフッ化物入りの水溶液を使って、ブクブクうがいを行い、歯のエナメル質表面に直接フッ化物を作用させる方法で、フッ化物の応用方法としては一番効果が高いと言われています。
一番効果が高いなんて初めて知りました！もっと早く知っておけば良かったわ。
そうです。あまり知られていないんですが、実はフッ化物洗口が一番虫歯予防にいいフッ化物応用であると言われています。虫歯になりやすい子どもさんの虫歯予防にはもちろん、うがいができる3歳頃から中学生頃までのすべての子どもさんにおすすめです。もちろん大人の方の虫歯予防にも使用できますし、ご高齢の方で歯ぐきが下がって歯の根っこが見えている方は、虫歯のリスクが高くなっていますので、子どもさんと同様にその効果は高いと思います。
なるほど。フッ素についていろいろ知ることができてよかったです。
わかりやすい説明ありがとうございました！
いえいえ。また気になることがあればいつでも質問してください。
